#11

8/1

僕が所属するバンドのレコ発ワンマン。
この日の為に数ヶ月準備をした。
沢山の時間と精神を使って。
何回も心が折れそうになって、投げ出しそうになって自問自答した。

『何故、こんなにも辛い思いをしなければならないのだ』

様々なモノを犠牲にして全てを費やして迎えた当日。
あっという間に終わった。
今までに無いくらいCDが売れた。

あれ、僕がやって来た事は無駄ではなかったのか。
これで良かったのか。

何回も頭に過った。

否。

もっと出来た筈だ。
もっと皆を満足させられる事が出来た筈だ。

悔しかった。
僕はまだまだ未熟だった。

しかし、もっと大きな感情が芽生えた。

『皆、本当に有難う。』

これに尽きる。
僕はまだまだ終われない。